TBC気象台日誌

今年の台風 発生数は少なくなる?!

台風1号の発生が遅れている今年、台風の発生数は平年より少なくなりそうです
 その大きな要因が、おととしの夏から続いているエルニーニョ現象が終息するという点。南米・ペルー沖の海面水温が高くなるエルニーニョ現象が発生すると、その海域では上昇気流が起こる一方、周りには下降気流が吹き降りるため、フィリピンの東海上では高気圧が強まります。さらに、エルニーニョ現象が終息する頃にはインド洋の海面水温が高くなるという傾向があり、このことによっても高気圧は強められます。結果、フィリピンの東海上で対流活動が不活発になり、台風の発生は抑えられるというメカニズムです。

エルニーニョと台風1

 エルニーニョ現象は春の間には終わり、この夏にはラニーニャ現象が発生する予想。気象庁が統計を取り始めて以降、こうした状況になった年は3回ありますが、台風の発生数はいずれの年も平年を大きく下回っています(2010年は観測史上1位の少なさ、1998年は観測史上2位の少なさでした)。

エルニーニョと台風2

 こうしたことからも、今年の台風は発生数が少なくなる見通しですが、台風による被害が出るかどうかは別な話。特に今年は、西日本を中心に梅雨前線の活動が活発化しそうですので、梅雨の時期はなおさら台風の動向に注意するようにしてください

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